活動報告

がん×糖質制限で生き抜きたい

【突然の宣告】

コータは昨年、14歳という、「今から」の年齢で突然「脱分化型、脂肪肉腫」という診断を受けました。とても悪性度の高いがんです。突然の宣告にショックを受けている暇もなく、手術の日程がバタバタと決まり・・・9月に入院し、何時間もかけて、がんを手術で取り除きました。11月に退院し自宅に戻りましたが・・・術後6か月で肺に転移していることがわかりました。

転移巣の切除手術を大学病院で6月初旬にしました。このほど退院したところです。術後、主治医よりあった病状説明は厳しいものでした。若い人のがんは進行が早く、抗がん剤をしてもいいが、感受性は非常に低く、寛解する可能性はとても低い。それでも主治医はこう聞きました。

抗がん剤、頑張れる?

抗がん剤は副作用の大きい、過酷な治療です。大人でも音を上げるほどの治療を、こんな小さな子に・・・?治る可能性も、ないのに・・・?すぐに答えが出なかったため、いったん家に持ち帰り、真剣に考えたそうです。

本人、家族ともに、大いに揺れましたが、最終的に本人の希望やQ.O.Lを重視し、コータは、「抗がん剤治療は、しない」という選択をしました。母親は、看護師です。説明を受け、厳しい現状を理解して息子に助かってほしい、生きてほしいという思いでいっぱいです。本人も、決してあきらめたわけではなく、小さな体で精いっぱい事実を受け入れ、よくなりたい、生きていたい、と真剣に思っています。

【糖質制限という選択】

がんのエサは糖質だけということを皆さんはご存知でしょうか。がんの増殖、成長にはブドウ糖が不可欠。がんが持つこの最大の弱点を利用した、がんの食事療法による治療法が注目されています。

ブドウ糖に変わる糖質の摂取を極限まで制限し、代わりに良質な脂質、良質なたんぱく質を摂取することで安定したエネルギー源を確保する、この「ケトン食」という食事法。主食なし、おかずのみの、一般的には少し?変わった食事ですが、ほとんど副作用といえるものがないのが非常に良い点です。

きちんと学んで取り組めば、専門的な知識を持たない一般人でも積極的に治療の主体となることができるという意味では、今までになかった「新しい発想」といえます。

副作用はないばかりか、正常細胞はより元気になり、がん細胞だけが壊滅的に被害を受けるという点で非常に画期的で、非常に注目を集めています。学術的な裏付けもしっかりあります。現在大阪大学で肺がんⅣ期(末期)の患者さんに対する3年がかりの臨床研究が進められており、まだ症例数は多くはありませんがケトン食を継続できた患者さんにおいては、全員「寛解」し、現在も「存命」されているという素晴らしい治療成績を上げています。(最終学会報告2015年10月29日)

がんの増殖、成長とと糖質(ブドウ糖)に深い関係があることを知っていたコータの母親は、生きる望みを糖質制限にかけ、今全力で糖質制限に取り組んでいます。

【自由診療という壁】

ケトン食は単体でも、非常にがんに有効な治療法ということができますが、もう一つ治療を組み合わせることで更にその治療効果を上げることができます。それが「高濃度ビタミンC点滴治療」です。

これはブドウ糖とビタミンCの構成が非常に似ていることを利用したものです。ブドウ糖もビタミンCも、どちらも5つのOHと1つのOで構成されています。断糖により兵糧攻めを受け、激しくブドウ糖を渇望しているがん細胞は、高濃度のビタミンCを「ブドウ糖と間違えて」喜んで取り入れます。結果、ビタミンCの強い酸化力に更に大きなダメージを受けることは確実。増殖への体力を奪われ、細胞死を受け入れるという原理です。

これは希望的な観測でなく科学的な事実であり、「糖質制限(ケトン食)」「高濃度ビタミンC点滴療法」の組み合わせは、非常に有効、かつ副作用の少ない、がん治療における選択として、もう少し高く評価されるべきだと思っています。

高濃度ビタミンC点滴治療は、(少なくとも糖質制限との組み合わせにおいては)素晴らしい効果が期待できるものですが、1つ難点があります。保険適応でないという点です。治療費はすべて全額自己負担となるため、かなり高額となってしまいます。

また、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、1回の点滴治療で治療が終了するというものではなく、スタンダードなパターンで週に2~3回、1回投与量25g~75g(25000mg~75000mg)と血中濃度を見ながらその量や頻度を調整していくことが必要です。価格はその濃度によります。50gの高濃度ビタミンC治療1回あたり、標準的な価格は約2万円が相場です。

ということは、週に2回、50gの高濃度ビタミンC点滴治療を受けただけでも1月で16~20万かかることになり、6か月のフォローを受けようとすると、ざっと100万以上はかかる計算になります。こうして、よい治療だとは思っても、現実的に治療を受けさせてあげられない、という葛藤に悩まされる人は、少なくはないのだと思います。

 

【100%成功する保証は何も、ありません】

若年性のがんは、進行が早く、はっきり言って、そんなに楽観的な見通しを持てるものではないというのは重々把握しています。発見が遅くなったこともあり、いかに「最強の治療法」で戦ったとしても、もしかしたら、残念な結果になってしまい、心を痛めることになるのかもしれません。

でも、もし残念な結果になったとしても、たくさんの方に、応援されて戦った経験はコータにとっても、コータの家族にとっても、本当にかけがいのない経験になると思います。

【コータを、大人にしてあげたい】

命にかかわる経験をして、1人の少年はある夢を持ちました。もし大人になれたら、患者の心に寄り添える、強くて優しい看護師になりたい。

彼の夢がかないますように。

傷ついて、強くなったコータが、また、同じように傷ついている患者さんの希望の光となりますように。

・・・コータの夢を、ぜひ応援してください。

私たちは奇跡を信じています。